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メンタリズムな恋…
第4章 先生、油断大敵です
後は一般的な3歳児の行動力などを考えて行き先を推測する。
他の場所に居る可能性を考慮しながら集めた情報と照らし合わせて除外して行けば最後に残った答えが発見の近道となる。
私はメンタリストとして、その情報を集めるという基礎を怠った。
警察官である片桐さんから聞いた情報が奈々ちゃんの捜索情報の全てだと考えてしまった。
「俺が教授なら亜子は落第だな。」
ボロ雑巾が口元だけニヤニヤさせると堪らなく嫌味に見えて腹立たしい。
メンタリストとして間違いなく一流の先生だと思うから口を尖らせながらも先生には反論が出来ない。
その代わり…。
「先生は何故メンタリストになりたいと思ったのですか?」
先生の事をもっと知りたいと質問する。
「なりたいと思った事はない。」
呟くように答える。
「思った事がないって…。」
「気付いたら勝手にそう呼ばれてた。」
面倒臭そうに欠伸をする先生に驚く。
生まれながらのメンタリスト…。
それは極稀に存在する天才…。
IQが以上に高く、人を操る能力に長けてるからと詐欺師などの犯罪者にもなりかねない存在。
いわゆる宗教的な象徴として存在する人がその類いになる。
怪しげなカルト団体…。
その教祖として君臨する者は生まれながらのメンタリストの場合が多い。
それ以外でも歴史的独裁者などもやはりメンタリストの要素を持つ人が多く見られる。
彼らの演説は力強く、魅力的でその国の民衆を惹き付ける能力がある。
それはメンタリズムによる支配。
だからこそメンタリストはその能力を悪用してはいけないと私は思う。
そのメンタリズムを生まれ付き持つという希少な存在と私は居る。
自分がメンタリストとして成長する為には先生から学ぶ事は多く、このチャンスを逃してはならないと何度も自分に言い聞かせていた。