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メンタリズムな恋…
第6章 先生、繋がってます
「ちゃんとわかってますよ?僕が電話をして大和さんを呼んだのですから。それでもこうやって質問するのが事情聴取のセオリーなんですよ。」
片桐さんが女性警官をチラ見してから言い訳する。
「今はお仕事中って事ですか?」
「この聴取が終われば勤務外です。」
「なら早く終わらせましょう。」
長引けば片桐さんの仕事が長くなる。
多分、先生の逃走で残業になってる。
だったら早く終わらせてあげたいと私は思う。
「あの倉庫の一件は飛ばして貰って構いませんよ。」
片桐さんの言葉に固まった。
「あの倉庫の…。」
あのお騒がせについて聞かれても私にも答えようがないと考える。
「奈々ちゃんの捜索とは関係のない一件です。」
「あの時は…、すみませんでした。」
「気にしないで下さい。それで、山に奈々ちゃんを探しに行こうと言ったのは大和さんの方ですか?」
「はい、先生が奈々ちゃんのお婆さんから聞いた話でお爺さんが持ってた山に居る可能性があると推測したので…。」
「その事は他の警官には?」
「言ったけど警察の人にはスルーされたって先生が怒ってましたよ?」
「本当ですか?現場に居たどの警官だろ?警視庁側なら大和さんの言葉はちゃんと聞くはずだから、所轄の警官かもしれないなぁ。」
片桐さんが難しい顔付きに変わる。
眉を顰めて何かに怒ってる表情なのに私はその丹精な表情をカッコいいとか思っちゃう。
私と同じように女性警官もうっとりとして片桐さんをじっと見る。
やっぱり片桐さんってモテモテなんだ。
私には高嶺の華だと感じる。
「それで、2人だけで捜索に?」
ぼんやりとしてたから改めて聞かれてドキリとする。
「そうです…。」
今は事情聴取中なんだから余計な事を考えずに集中しなければ片桐さんの残業が伸びるだけだと気合いを入れ直す。