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メンタリズムな恋…
第7章 先生、逃げられないよ
「先生…、ベッドで寝て下さい。」
私の食事が終わってもソファーから動かない先生に声を掛ける。
答えを返してはくれない人…。
このペントハウスにあるゲストルームは3つ…。
先生がどの部屋を使ってるのかがわからない。
私がここに住み込むつもりなのは先生ももう理解をしてくれてる。
寧ろ、今日の事で私が勝手に帰る事を先生は嫌がって怒ってると感じた。
奈々ちゃん捜索の時も私とホテルに泊まる事になるのを先生は予想していたと思う。
何も言わずに自然に私を受け入れる不思議な人…。
その先生の髪に触れてみる。
「先生…。」
ゆっくりと先生が頭を上げる。
「何…?」
「ベッドに…。」
「俺と一緒に寝るの?」
「寝ませんっ!」
慌てて先生の髪から手を離す。
その手を捕まえるように先生が握る。
「逃げんなよ…。」
鋭い瞳が私が睨む。
身体が強張るから動けない。
これが先生のメンタリズム?
私は彼から逃げられない。
ただ、ゆっくりと私の身体を引き寄せて先生が私の胸の辺りに顔を埋める。
「先生…?」
「少しだけ…、ここに居ろ…。」
小さな子供が甘えるみたいに私に抱き着いてる先生が呟く。
彼の頭を抱えてみる。
さらさらの髪…。
前髪の隙間に見える切れ長の瞳…。
整った薄い唇…。
その全てにドキドキする。
今だけは私のもの?
貴方の全てが欲しいとか考えちゃう。
数多の女性を惹き付けて病まない美しい人…。
私だけの人にしたいとか畏れ多い存在…。
なのに先生の手が私の顔に触れて来る。
頬骨から首筋へとその指先が流れるように移動する。