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メンタリズムな恋…
第8章 先生、帰るから待ってて
鑑識の捜査は終わった。
お母さんとお父さんが私の顔を覗き込む。
入り口からだけど自分の部屋を見せて貰った。
窓が割れてる。
ベッドと枕がナイフのような物で切り裂かれてズタズタにされてるのを見て足が震える。
私は誰にそんなに恨まれてるの?
目眩がしそうになる私を片桐さんが支える。
後は本棚の本が床に散らばりタンスの中の物がその上に広がる様を確認する。
机も引出しが全て開いてた。
自分の部屋じゃないと思いたい。
何故、ここまで…。
見えない何かが私を縛り付けるから身体が固まって動かない。
それは恐怖という名の鎖…。
片桐さんが私の背中を撫でてその鎖から解き放つ。
「今夜は泊まっていく?」
お母さんが私を心配してる。
元々、私の今の生活は大学の学生寮が中心だから実家の部屋を荒されてもあまり被害という被害を受けたとは言えない。
幸いな事に、まだその学生寮にはここを荒らした犯人が現れておらず警察による周辺の警護強化を片桐さんが約束してくれる。
「帰るよ。」
このままお母さん達の傍に居ると事件に巻き込むかもしれないと考えちゃう。
「けど…、亜子…。」
「大丈夫だよ。警察が私の安全の為に保護を約束してくれてるもん。こちらの片桐さんって警視庁のエリート刑事さんなんだよ。」
お母さん達に心配を掛けない為の説得をする。
「片桐と行くのか?」
片桐さんと家を出ようとする私に先生が声を掛ける。
「うん…。」
「そうか…。」
先生が俯く。
「誤解しないで…、被害者として片桐さんと警察には行って来ます。だけど警察に完全な保護を受けるつもりはないの。だって私のバイトはまだ終わってませんよね?」
もしも、これで先生に拒否されたら私の人生はお先真っ暗だなとか思うと苦笑いしちゃう。