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ヘタレ男の夏の夜
第1章 ヘタレ男の夏の夜
「ほらよ。」

おっちゃんは言われた通り、袋を2つに分けてしょーちゃんに手渡した。

「はい。これはお前にやる。」

赤と黒の方を俺に渡してきた。
満面の笑みで誇らしげに言う、しょーちゃんが可愛すぎる。


地元のお祭りで人はそこそこ多い。


「…はぐれないように手でも繋ぐ?」

「バッカじゃねーの。繋ぐわけねえだろ。」

あっさり振られ、出し掛けた手を引っ込めた。

「あっー!!綿菓子食いたい。」

「じゃあ奢ってやるよ。」

一番スタンダードな白い綿菓子を買ってやった。
ガキの頃から変わらねえ、可愛い顔で喜ぶ。

「俺も一口ちょーだい。」

あーんと隣にいるしょーちゃんに向けて口を開くと、仕方ねえなと、一口放り込まれた。
甘っ…そーいや、甘いの苦手だったと今更気付く。


「他は欲しいもん、ねえの?」

綿菓子を食いながら肩が触れ合うくらいの距離で歩いていた、しょーちゃんが突然少し離れた。
しょーちゃんの視線の先を見ればーーー。

なるほど。

元テニス部のやつらがいた。
しょーちゃんの部活仲間。
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