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女教師と男子生徒、許されざる愛の果てに~シークレットガーデン
第3章 もつれ合う心
「うざいよ、先生」
 長瀬はもう一度吐き捨てるように言い残し、火を付けた煙草をくわえ、去っていった。
―うざいよ、先生。
 〝うざい〟のひと言が心優の心に重くのしかかった。溢れそうになった涙をまたたきで散らし、心優は空を振り仰いだ。
 既に五月半ばの空は西の方から宵の菫色に染まり始めている。随分と長瀬と話し込んでいたようだが、彼と一緒にいると時間の経つのも忘れてしまう。
―嫌なことがあったり、むしゃくしゃして爆発しそうになったら、ここに来るんだよ。
 たった十七年の生涯で、彼が背負ったものはあまりに多すぎた。
 本妻の彼ら母子に対する迫害。更に父と母の不和。優しい彼は母親の苦しみや哀しみまでもその背に背負い続けてきたのだろう。
 今、長瀬が見ているという空を心優もまた眺めながら、改めて彼がどんな想いでこの空を眺めてきたのだろうと思うと、やるせない気持ちになった。 
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