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女教師と男子生徒、許されざる愛の果てに~シークレットガーデン
第3章 もつれ合う心
 翌日の三時間目は古典の授業だった。今、やっているのは紫式部の『源氏物語』である。昨日、長瀬も言っていたように、今時の高校生にはいささか理解不能の部分もあるようで、特にイケメン貴公子や華やかな恋に憧れる女子生徒とは異なり、男子ばかりのこの学校で生徒たちにこの日本文学の最高峰といわれる物語の良さを理解させるのは難しい。
「いづれの御時にか、女御・更衣あまた候ひ給ひける中に、いとやむごとなききはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり」
 心優が教科書を朗読しながら、生徒たちの机の間をゆっくりと歩いていたときのことだ。
「先生、質問」
 ふいに手を上げた生徒がいた。
「はい、小柳君、何ですか?」
 小柳有樹は割とおとなしい方の生徒だ。最初の自己紹介のときも、まともなことを喋った少数派に属していたほどである。だが、時として、このように突飛な質問をするときがある。
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