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女教師と男子生徒、許されざる愛の果てに~シークレットガーデン
第4章 哀しいすれ違い
母親は嬉しそうに言う。
「あんたみたいなお嬢さんが息子の嫁になってくれたら、毎日が愉しそうね」
ブッと思わず飲みかけのコーヒーに思いきり噎せてしまった。彼の母は今、何と言った?
長瀬に好きな女の子がいるらしいと聞かされ、何故か暗い気持ちになっていた心優は眼をまたたかせた。
「お母さん、それは恐らくというか、絶対に勘違いされています。私は教師で、彼は生徒ですから」
ところが、である。母親は呵々大笑した。
「それがどうしたっていうの、お互いが好きなら、それで良いのよ。あ、心配しないで、あたしはそんなことで反対しないから。もう、先生をひとめ見て、あたしも気に入ったわよう」
母親は弾むような口調で続けた。
「あたしもそうだったから。あの男(ひと)のことを本気で好きになって、それで大翔が生まれたの。本当はね、判ってたのよ。奥さんがいる人だってことも、大会社の社長さんで、あたしなんかには手の届かない人だってことも。でも、好きだって気持ちには勝てなかった。奥さんに子どもがいないってことも知ってたから、妊娠したときは心底申し訳ないと思ったの。でも、堕ろすつもりはなかった。だって、大翔はあたしの宝物。遠いフィリピンからたった一人で日本に来て二十五年で、あたしが得たものはあの子だけだもの」
「あんたみたいなお嬢さんが息子の嫁になってくれたら、毎日が愉しそうね」
ブッと思わず飲みかけのコーヒーに思いきり噎せてしまった。彼の母は今、何と言った?
長瀬に好きな女の子がいるらしいと聞かされ、何故か暗い気持ちになっていた心優は眼をまたたかせた。
「お母さん、それは恐らくというか、絶対に勘違いされています。私は教師で、彼は生徒ですから」
ところが、である。母親は呵々大笑した。
「それがどうしたっていうの、お互いが好きなら、それで良いのよ。あ、心配しないで、あたしはそんなことで反対しないから。もう、先生をひとめ見て、あたしも気に入ったわよう」
母親は弾むような口調で続けた。
「あたしもそうだったから。あの男(ひと)のことを本気で好きになって、それで大翔が生まれたの。本当はね、判ってたのよ。奥さんがいる人だってことも、大会社の社長さんで、あたしなんかには手の届かない人だってことも。でも、好きだって気持ちには勝てなかった。奥さんに子どもがいないってことも知ってたから、妊娠したときは心底申し訳ないと思ったの。でも、堕ろすつもりはなかった。だって、大翔はあたしの宝物。遠いフィリピンからたった一人で日本に来て二十五年で、あたしが得たものはあの子だけだもの」