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独占欲に捕らわれて
第5章 返済
「なんだ、また変なのが来たな」
体格のいい、角刈り頭の中年男性が紅玲の前にすわる。
「代理で返済に来たそうですよ」
スキンヘッドは、角刈りにクリアファイルを渡した。角刈りは借用書を見ると、スキンヘッド同様に納得したように声を漏らした。

「へぇ、大層な友達思いだな」
角刈りが言うと、ふたりはバカにするように笑った。
「マサくんとは会ったこともないし、友達じゃないよ。オレはマサくんの、可愛い可愛い妹ちゃんのためだけに来ただけだから。ね、利子含めていくら?」
怯えるどころか堂々とタメ口で話す紅玲に、角刈りは不思議そうな顔をする。

「本当に変な奴だな……。そうだな、利子合わせて160万ってところだ」
(チサちゃんの言う通り、利子が1万円だったら、110万かそこらなんだけどなぁ。微妙な水増ししちゃって)
紅玲は笑いたいのを堪えながら、アタッシェケースを開けた。中には小さなノートパソコンと、5つの札束がある。紅玲は札束を3つ取ると、角刈りの前に並べた。
「は……?」
角刈りとスキンヘッドは、札束と紅玲を交互に見る。

「あとからまた足りないなんて言われたら困るからね、保険にお小遣いあげちゃう。ね、完済書もらっていい?」
紅玲が手を出しながら言うと、角刈りはスキンヘッドに耳打ちをした。スキンヘッドは急いでデスクに座ると、パソコンの操作を始めた。
「アンタ、何者なんだ? どうしてここまでする?」
「んー? 簡単な話だよ。よく言うでしょ? 恋は盲目って」
紅玲がニヤリと笑いながら言うと、角刈りは失笑した。

「できました」
スキンヘッドは角刈りの前に完済書を置く。角刈りは判子を押して紅玲に渡す。
「ほらよ」
「ありがと」
紅玲は借用書を丁寧に畳んでアタッシェケースにしまうと、部屋から出ようとして足を止める。

「そうそう、0を書き足して水増しするのはいいけど、あんなに雑だと、筆跡鑑定に持ち込まれたら終わるよ? やるならもっとうまくやらなくちゃ。それじゃ、バイバイ」
ポカンとするヤクザ達に手を振ると、紅玲は今度こそ事務所を後にした。
「これでチサちゃんにいい報告ができるね」
紅玲は鼻歌を歌いながら、軽い足取りでファミレスに戻った。
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