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独占欲に捕らわれて
第7章 苦悩
ベッドに潜り込むも、千聖は寝付けないでいた。斗真の話や、これまで過ごしてきた紅玲との時間を思い返す。
(第一印象は最悪だったけど、案外まともな人だったりするのよね……。今日なんかは取材ついでに、私の愚痴も聞いてくれたし……)

千聖はため息をつくと、ベッドから出てホットミルクを作る。蜂蜜をひと垂らしして、仄かな甘みを加える。
ホットミルクをひと口飲むと、再び思考を巡らせる。
「どうして、私なんだろう?」
それはアイスクリーム屋で再会した時から、ずっと疑問に思っていたことだ。

合コンでは何を聞かれても素っ気なく返した上に、当てつけのような帰り方をしたというのに、アイスクリーム屋でわざわざ声をかけてきた。声をかけてくるだけならまだしも、千聖が自分を利用していると分かった上で相談に乗ってくれた。

借金返済に関しても疑問がある。千聖は利子も含めて返済出来る貯金があると言った。普通だったら「あるならそれで返せばいい」と、一蹴されてもおかしくない。紅玲は契約をするために肩代わりしたが、いくら一目惚れしているとはいえ、冷たくあしらった人間にそこまでするのもおかしな話だ。

そして斗真から聞いた話。好きな女性達に利用され続け、尊敬していた助教授は、頭のおかしい女性達に精神病院へ追いやられた。ひどく落ち込んでいる最中に優しくしてくれた女性も、金を巻き上げて紅玲を捨てた。

「私だったらもう女性に近づかないか、利用して捨てて、嘲笑うものだけど……」
千聖は斗真から話を聞いたあと、もし自分が紅玲だったらどうするかと、何度も考えていた。だが考えれば考えるほど、紅玲の行動は理解できない。

「私、このままでいいのかな……?」
斗真の話を聞いて以来、千聖は紅玲に借金を肩代わりさせたことに罪悪感を覚えていた。いくら躯で対価を払っているとはいえ、心苦しいものがある。1回のセックスで5万円としよう。紅玲はまだ、千聖を1回しか抱いていない。明日の約束をカウントしても2回、つまり、10万円分だ。この調子だと1ヶ月で40万円分しか抱かないことになる。
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