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独占欲に捕らわれて
第7章 苦悩
千聖が罪悪感を覚えるのは、金銭の問題だけではない。自分が紅玲を利用していた女達と同じことをしていないか? 紅玲に恋愛感情を抱くことはないが、だからといって彼をボロ雑巾のようにするつもりなどない。

「あのこと、斗真に聞いとくんだったかも……」
千聖のいう“あのこと”とは、紅玲の親のことである。地元のファミレスで話した時、紅玲は自分の親も毒親だったと言っていた。その話を聞いてから、無闇にぶっきらぼうな態度が取りにくくなってしまった。

「私なりに、紅玲と向き合った方がよさそうね……。少なくとも、あの3週間は会うんだから……」
千聖はコピー用紙を1枚持ってくると、紅玲についてまとめだした。

分かっていること
・私が好き
・毒親持ち
・お金がある
・シナリオライターやFXで生活している
・外食が多い
・斗真とは高校からの付き合い
・女性関係のトラウマ級の過去
・お酒に弱い

分からないこと
・私のどこが好きなのか
・どんな毒親だったのか
・女性をどう思っているのか
・なぜ借金を肩代わりしたのか

リストを書き終えると、千聖はボールペンを転がしてため息をつく。
「分からないことっていうより、知りたいことになってる……。まぁいっか」
ようやく睡魔が来たらしく、千聖は大きなあくびをすると、ベッドに戻った。
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