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ひと夏の恋……そして……
第5章 運命のいたずら
佐伯さんと話していると、彼と話しているようでなんでも口にしてしまう。
それが良い事なのか悪い事なのかわからない。
ただ私は彼ともう少し一緒にいたかった。

「それは当然だと思いますよ。住んでいた場所は愛着がありますからね。想い出があれば尚更です。本当に心が通じなければ託せませんからね。ですから、皆さんの想いは無下にはしませんよ。短い時間ですが全てを知った上で、この島の未来を模索したいと思っています。それを手伝っていただけますか?」

そう言って、佐伯さんは私に右手を差し出した。
私に何ができるかわからない。
少しでも彼の力になればと思いその手を取って頷いた。
その手から伝わるぬくもりに懐かしさを感じながら心はトキメイていた。

「よかった。この島に来て真緒さんと出会えたことが私にとって一番の幸福ですね」

フワッと笑った笑顔が彼と重なった。
私が愛した人、私が愛し続けた人に……


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