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ひと夏の恋……そして……
第5章 運命のいたずら

「このお店は叔母様から引き継がれたんでしたよね」

「はい。叔母が亡くなって、この場所を離れたくなくて無理を承知で引き継ぎました。いろいろな人の手によって続けてこれたと思います」

「良い人たちに恵まれたんですね」

佐伯さんの言葉に改めてそうだと思う。
お金があったとしても、私一人では当の昔につぶれていたと思うし、小さな真和を抱きかかえてやってこれなかったと思う。
その時その時にいろいろな人が手を差し伸べ、今がある。
それだけ素敵な人たちの集まった島。

「素敵な人たちなんです。それを佐伯さんにも知ってほしいと思います」

「そうですね。そういうのを見てみたいと思います。それに真緒さんを見ていると伝わりますよ。この島の人たちの優しさがね」

「そういって貰えるとうれしいです。前の社長さんは良い条件ばかりを提示してこの島を見ようとはしてくれませんでした。この島を離れるにしても残り続けるにしても、この島をちゃんと見てくれる人に託したいと私たちは思っています」


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