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ひと夏の恋……そして……
第6章 忘れられない夏

「どうした?」

「恥ずかしいから見ないでっ」

覗き込まれそうになり、声を上げながらしがみついて離れなかった。

「どんな想像をしてるんだか。でも、そういう真緒も可愛くていいな」

少し呆れた物言いをした夏樹は、触っていた指を離して抱きしめてくれた。
その背中に腕を回せば優しく髪の毛を撫でてくれる。

「焦るつもりはないんだ。ゆっくり進んでいこうな」

私の事を気遣ってくれる夏樹の想いがうれしかった。
私だって夏樹とこういうことをするのは嫌じゃない。
求められてうれしいとは思う。
それでも私は高校生で、こんなことをしていいのかと思うと素直に受け入れることができなかった。
今まで友達と呼べる親しい友達もいなかったから、恋バナをしたことがない。
だから、これが普通のことなのか分からなかった。
そんな事を抱きしめられながら考えていると、いつの間にか眠っていたようで、下からおばあちゃんの声がするまで抱き合って眠っていた。


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