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ひと夏の恋……そして……
第6章 忘れられない夏

少し寂しそうに笑った表情は昔の私と似ている気がした。
自分ではどうしようもできなくて、もがいて苦しんで出口の見えない迷路の中に迷い込んでいるような遠い昔の自分……
「毎年ここに来るとホッとするんです。叔母さんも夏樹も、お店に来る常連客も私を受け入れてくれる。私は馬鹿じゃない、必要とされてるんだって思わせてくれる。――ここでは一人の人間として扱くれるからうれしいんです。」
「そっかぁ。僕はここに来て日が浅いからそこまではわからないけど、島の人はみんな良い人ばかりなのは良くわかるよ。来てよかったと思う」
私の言葉に同意してにっこりと微笑んでくれる和泉さんが同志に見えた。
もっといろいろと和泉さんの事を知りたくて、休憩時間いっぱい話をした。
それから夏樹と和泉さんと3人で遊ぶことが多くなった。
夜の勉強も夏樹と和泉さんに教えてもらい、いつの間にか夏樹とキスをすることも触れることもなくなっていたことに気が付かなかった。
それだけ3人で過ごす時間が楽しかった。

