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ひと夏の恋……そして……
第8章 彼との深まる愛
次の日も、その次の日も和泉と一緒に短い夜を過ごした。
手を繋いで海岸を歩き、人の目を盗んでは抱き合ってキスを繰り返し、短い時間の中でも愛は育まれていく。
人を好きになるのに時間なんか関係ないと思うほど、この数日間で私は和泉に夢中になり、誰よりも愛しい存在に変わっていた。

「いい場所をみつけたんだ。だから今日はこっちに行こう」

いつものように砂浜を歩くと思っていたのに、手を引かれて連れていかれたのは浜辺から少し離れた空家。
この島に来るたびに空家が増え、どうにかして島を盛り上げようとみんなが努力しているのも知っていた。
それでもこの島から出る人は後を絶たず、悩みのひとつだと聞いたことがある。
この空家もその一つで、去年の今頃に人が住んでいたはずなのに今は誰もいない……
庭の方の窓を開ければ鍵がかかっていないようで、簡単に中に入ることができた。
室内は家具もなければ照明器具もない。
本当に誰も住んでいないんだと思うと、少し寂しかった。


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