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ひと夏の恋……そして……
第8章 彼との深まる愛
「どうしたの?浮かない顔をして」
月の光に照らされているおかげで、お互いの表情がはっきりと分かり私の事を気にしてくれる。
「ちょっと寂しいなって思って。去年までは小さな子供がいる家族が住んでたの。一年ぶりに島に来ると出て行った家も多くて寂しいなって」
「そうなんだ。こういう小さな島って過疎化が進んでるからね。でも出ていく人もいれば真緒みたいに毎年来る人もいる。そういう人が多くなって移住してくれるといいね」
優しく言葉をかけてくれる和泉に癒されて微笑むと、いつものようにそっとキスをしてくれた。
「真緒にとっては寂しい場所から知れないけど――今日からは僕らの秘密基地だよ」
「秘密基地?」
秘密基地という言葉にワクワクするのは一瞬で、次の言葉にドキドキして顔が赤くなるのが分かるほど恥ずかしくなる。
「そう。誰にも邪魔されることなく真緒とふたりっきりで過ごせる場所。浜辺ではキスしかできないからね――期待した?」
「きっ、期待なんてっ!!」
和泉の言葉を否定しながら本当は期待している。
キスだけでは物足りなくて、もっと先に進みたいと思い始めた頃だった。