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ひと夏の恋……そして……
第2章 逃げてきた場所

「叔母さん泊めて!」

高校一年の夏休み、着の身着のままで叔母さんの家に逃げてきた。
21時過ぎに連絡もなく現れた私を見て驚いていた叔母さんは、それでも何も言わずに招き入れてくれた。
まだ店内は賑わっていて、客からジロジロと見られながら奥の住居スペースに連れられて行かれた。

「あと1時間ぐらいで店閉めるから、それまでここで待ってて」

と、それだけを言い残して叔母さんは店に戻っていった。
夏の繁盛期、一番忙しい時に迷惑だと分かっていても、ここ以外行くところなんてなかった。
叔母さんにまで否定されたら私の居場所なんてこの世にはない。
そう思っていると、波の音が耳に流れ込んでくる。
それと共に楽しそうな声。
陽気に話し、笑い、ここには苦痛なんて言葉など似合わなかのように楽しい雰囲気に包まれていた。
それに反して私の心は荒んで暗闇の中にいた。
楽しい雰囲気が私を追い詰める。
最後の逃げ場所としてここにきたけど、かえって私を追い詰めようとしていることに気がついた。


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