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ひと夏の恋……そして……
第10章 夏の終りと共に
陽が昇りきる前に和泉と別れる時が一番さみしかった。
もっと傍に寄り添いたいのに同じ場所に帰れないもどかしさ、この気持ちの延長線上に結婚があるのかもしれないと、初めて和泉との結婚を意識した。

「じゃあ、また夕方に待ってるから」

「うん。バイトが終わったら急いでいくからね」

別れるのが名残惜しく何度もキスを交わして時間を引き延ばし、車の中だからと大胆になりいつまでも情熱的なキスを続けた。

「もう戻らないとマリさんに見つかるよ」

「うん……」

分かっているけど離れがたくて和泉の首に腕を回して抱きつくと、そのまま抱きしめてくれるから中々離れることができない。
だけど段々と辺りは明るくなり、これ以上は引き延ばせないと車から降りた。
それでも窓を開けた和泉とキスをし、何度も何度も振り返りながら足を進める。
家に近づくと扉の前に人がいることに気が付き、叔母さんに気づかれたと身構える。


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