この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ひと夏の恋……そして……
第10章 夏の終りと共に
「和泉――!!!」
「真緒――!!愛してるから、何があっても僕は真緒を愛してるから」
和泉の言葉に涙があふれてくる。
どんなに離されようとも私と和泉の心を引き離すことなんかできない。離れれば離れるほどお互いの思いは強く結ばれる。
「和泉――!!私も愛してる!ずっと、ずっと、和泉だけを愛してるから」
私の言葉に和泉がひそかに笑った。
それは、この夏ずっと私に向け続けてくれた、私が大好きな和泉の笑顔だった。
「真緒!ありがとう!――来年、また来年の夏に会いに来るから。会いに来るから――」
それが和泉の声を聞いた最後だった。
次の日の便で夏樹と一緒に和泉の後を追ったけど見つけることはできなかった。
和泉の大学に行けば夏休みの間に退学届けが出されていて、住んでいたアパートも引き払われた後だった。
呼び出し音が鳴っていたスマホもいつのまにか繋がらなくなり、和泉との連絡が一切取れなくなった。