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ひと夏の恋……そして……
第12章 成長とやさしさ
しばらくすると、で~きた!と弾んだ声が聞こえ、私たちは急いでテーブルに戻って知らない顔をする。
「ママ!できたよ。今度は崩れなかった。白身も黄身も真ん丸お月さんだ」
お皿の上にサラダと目玉焼きとウィナーとパンを乗せてご満悦な真和は私の目の前に皿を置いてくれた。
それと一緒にコーヒーまで持ってきてくれるから目頭が熱くなる。
「ママ、食欲ないの?」
感動して手を付けようとしない私を心配する真和にニッコリと微笑んで見せる。
「きれいだから食べるのもったいないなって」
「え~~だめだよ!きれいでも食べて!僕がつくったんだから」
頬を膨らませる真和にごめんねと言って、出来立ての目玉焼きを口に運んだ。
「わっ!とってもおいしい。」
そう言うと、真和はにっこりと笑い自分の冷えた目玉焼きを食べ始めた。
美味しいねと何度も口にしながら私と佐伯さんを交互に見まわし、笑いの絶えない時間を過ごすことができた――