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ひと夏の恋……そして……
第1章 進みだした時間
「真緒、今日も繁盛してるな」
忙しく動き回っている私に、常連客の夏樹が声をかけてカウンターに座った。
「おかげさまで……今が稼ぎ時だからね。この時期に繁盛してなかったらこの店つぶれてるって。で?今日は何にする?」
「やっぱりソンちゃんが作るハンバークだろう?」
注文を聞く私に、夏樹は当然のようにAランチのハンバークをオーダーする。
「そう言うと思った」
私も笑いながら夏樹の注文を受け、オープンキッチンにいるソンちゃんにオーダーを通してランチを作り始めた。
人手不足もあり、ランチは3種類のみに絞って提供している。
それでもお昼時になると手が回らないほど忙しくて、額に汗を流しながら受けた注文をこなしていく。
「すいませ~ん。お冷お変わりくださ~い」
先ほどランチを出したお客さんから声がかかる。
「は~い」
と言いながらも手が放せないでいると、夏樹がカウンター内のウォーターピッチャーを持ってそのお客さんの方に歩いていった。
そして慣れた手つきで水を継ぎ足すと、他のお客さんの席も回って私の変わりに接客をしてくれた。