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ひと夏の恋……そして……
第1章 進みだした時間
「夏樹。ごめんね。ありがとう」
お礼を言うと、にっこりと笑いながら手をヒラヒラとさせ、肩肘をついて外を眺め始めた。
その姿が絵になっているのは昔からで、夏樹のファンもいるぐらいにかっこよかった。
私より5つも年上の夏樹。
彼と知り合って何年になるだろう。
私が高校生の時だから……もう8年は経つ。
私を可愛がってくれる人の良い優しいお兄さん。
彼によって私は救われ……今でも何かと気にかけてくれる優しいお兄さん的存在だった。
「真緒。Aランチできたよ」
考え事をしていると、ソンちゃんが目の前にAランチを置いた。
今日はハンバーグのロコモコで目玉焼きと野菜たっぷりの女性に大人気のメニュー。
それを持って客席を回り、最後に夏樹の前に置いた。
「お待たせしました。……さっきはありがとうね」
「人手が足りないときは甘えよろ。気を遣うような仲でもないしな」
軽くウィンクをしてハンバーグにフォークを入れ目玉焼きの黄身をつけて口に運んだ。
「うん。いつもどおりに最高においしい」
いつもの言葉を口にして幸せそうに私たちが作ったハンバーグを食べはじめた。
その笑顔を見ていると、お店を続けていてよかったと思える。