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ひと夏の恋……そして……
第12章 成長とやさしさ
『だからさ。帰ったら真緒の事、抱くから……心だけじゃなくて、お前の身体も俺は欲しいから。それだけ、俺はお前が好きなんだよ』
昔はこんなにもはっきりと言葉にしてくれなかった夏樹。
その夏樹が言葉で私が欲しいという。
こんなに求められて逆らう理由がない。
「うん。待ってる……私も――夏樹に抱かれたい」
恥ずかしかったけど、言葉にする。
お互いに言葉にしなくて結ばれなかった私たち。
だからこそ言葉にしてお互いの気持ちを確かめ合う。
『やべ~、今すぐ帰りたくなってきた』
その言葉が照れ隠しなのはイヤでも伝わる。
顔を真っ赤にしながらも笑顔でいるのも手に取るようにわかる。
それが今の私と夏樹の距離。
そして、ブレることのない私の夏樹への愛。
「お土産楽しみにまってるから。たくさん買ってきてよね」
『ああ、もちろんだ。食べきれないほどの温泉饅頭買ってきてやる』
「え~~温泉饅頭なの?もっとお洒落なのがいい」
こんな他愛もない話をするのも楽しかった。
きっと私は大丈夫と自分に言い聞かせながら夏樹との電話を楽しんだ――