この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ひと夏の恋……そして……
第12章 成長とやさしさ
夏樹の言葉に何だかモヤモヤしたものが心の中に広がった。
真和の事を大事に思ってくれるのはうれしいし、それを望んだのは紛れもなく私だけど、これだけ真和真和言われると良い気はしない。
「真和だけ?私には会いたくないの?」
ついつい口に出てしまう言葉。
自分の子供にヤキモチを焼いてどうするんだと思うけど、私を見てほしいと思う。
『ば~か』
そんな私の悩みをバカの一言で終わらせる夏樹。
シュンとする私の耳元で、夏樹は優しい声音で囁くように言葉にする。
『会いたいに決まってるだろう。真和も大事だけど、俺が好きなのは他でもないお前だって。真緒だって分かってるんだろう?俺のお前のへの気持ち』
「……うん」
『それにさ。真和は抱きしめれば満足だけどさ。真緒は違うから。抱きしめたぐらいじゃ俺、満足できないから。俺の言っている意味わかる?』
分かる?と言われて、顔が一気に赤くなった。
嫌でも夏樹の言葉の意味は分かった。
『なぁ、真緒。俺、ずっと我慢してるんだ。真緒の事大事だから大切にしたいって思う。その反面、早く俺のモノにしたいって思ってるんだ。だからさ』
一旦言葉を切った夏樹は、電話越しでもわかるぐらいに大きな深呼吸をしていた。