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ひと夏の恋……そして……
第13章 私の心はどこに

『真緒?どうかしたか?さっきから元気がないようだけど』

相変らず、少しの変化でも気が付いてくれる。
こんな彼を私は裏切っている。
そう思うと、申し訳なくて泣きたくなる。
分かっていても佐伯さんを切り離せない私がいる。
このまま進めば、あの時と同じように夏樹を傷つけ悲しませるのは分かっているのに佐伯さんを求めている私がいた。
佐伯さんを求めているのに、夏樹を手放したくもない。
ダメなのはわかっているのに、両方手に入れたいとか馬鹿なことを考えてしまう。

『真緒?』

優しい声音にビクッと肩が揺れ、一度深呼吸して言葉を発する。

「別に何でもないよ。それより、ひとつ聞いてもいい?」

『いいけど?何だ?』

昨日の夜からどうしても聞きたいことがあった。
今まで深く考えることもなく、近づきたくない私には都合がいいことで聞いたこともなかった事。
だけど、今は聞いてみたいと思う。


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