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ひと夏の恋……そして……
第14章 花火大会と決意
「ねぇ、夏樹」
『ん?どうした?』
何も知らない夏樹は、優しく私の話を聞いてくれる。
その夏樹を裏切るようなことをしている私を許してくれるだろうか。
私が下した決断を、夏樹は受け入れてくれるだろうか。
本当なら、電話で伝えなくていいことなのかもしれない。
だけど、自分の気持ちがはっきりした今、佐伯さんにも、夏樹にも自分の気持ちを伝えたい。
そこから逃げ出さないためにも夏樹に伝える。
「帰ってきたら大事な話があるの。聞いてくれる?」
『大事な話?』
「うん。とっても大事な話、電話は嫌だから会ってから話したい。だから戻ってきたら時間つくってくれない?」
そう言葉にすると、少しの間沈黙ができた。
私も夏樹が何かを話すまで言葉はかけない。
しばらくすると、耳当たりのいい夏樹の声が聞こえる。
『分かった。どんな事か分からないけど聞くよ――俺は真緒のすべてを受け止めると決めたんだ。何でも受け止めてやるよ』
どこまでも優しい夏樹に、一粒の涙を零していた。