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ひと夏の恋……そして……
第15章 私が下した決断
「まぁ、それも杞憂に終わると思いますけどね」
「どういうことですか?」
何が杞憂に終わるのかと聞けば、ここだけの話だと教えてくれた。
「真和くんは、もう夏樹さんの事を父親と認めていますよ」
「えっ?」
「言ってたんです。なつ兄ちゃんがパパになってくれたらうれしいなって。ママもきっとなつ兄ちゃんの事好きだから、ふたりが結婚して早く僕のパパになってくないかなって」
佐伯さんの言葉に驚くしかなかった。
本当に真和が夏樹の事を父親としてみとめているというのなら、これ以上うれしいことはない。
「さて、そろそろ帰りましょうか?早く真和くんを迎えに行ってあげないと」
「そうですね。今日は私のわがままに付き合ってもらってありがとうございました」
「いいえ。私の言葉で真緒さんが前に進めるのなら、何度だって和泉さんになって言ってあげますよ。私はあなたの幸せを願っていますから。これくらいしかできませんが、泊めていただいたお礼です」
そう言った佐伯さんは、私の腰に手を添えて一緒に歩き出した。