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ひと夏の恋……そして……
第16章 すれ違う気持ち

「真緒に会いたいと思ったのは俺だけだったんだな」

「えっ?何?」

ぽつりとつぶやく言葉に顔を上げれば夏樹の表情が曇っていることに気がついた。

「夏樹?どうしたの?疲れちゃった?」

友達と会ってはしゃぎすぎたんじゃないかと心配になって頬に手を伸ばしかけた時、その手を勢いよく払われた。

「夏樹?」

驚く私に夏樹は鋭い視線を向け、いつものような優しいまなざしを向けてはくれない。

「佐伯って男とどういう関係?」

鋭い視線を向けたまま佐伯さんの名前を出されるとドキッとする。

「関係って言われても……さっきも説明した通りリゾート開発の担当の人だよ」

「ただの知り合いを家に上げるんだ。この時間に帰らないってことは泊ってるってことだよな?」

夏樹の言いたいことが理解できれば、一瞬にして青ざめる。

「なんだ?まずいこと知られたって顔してるな」

笑いながら言葉にしても目が笑っていない。
完全に誤解していると焦った。


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