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ひと夏の恋……そして……
第16章 すれ違う気持ち
「聞いて!あれにはちゃんと理由があるの!」
「抱き合ってキスするのに理由なんてひとつだろう!そんなにあいつがいいのか?あいつに似てれば誰だっていいのか!!」
「そんな事、思ってない。和泉は和泉で誰も変わりなんてできない」
「そうか、誰も変わりなんかできないのか」
「そうだよ。誰も変わりなんかできないんだよ」
私の気持ちは伝わったと思った。
これで誤解も解け、今までみたいに戻れると思った。
だけど違った。
夏樹は誤解したままで何も伝わってはいなかった。
「そうだな。変わりなんてできないよな。俺は俺で和泉じゃない。お前が好きなのは今も昔も和泉なんだからな」
「夏樹?」
夏樹の言葉に嫌な予感しかしない。
恐る恐る夏樹に手を伸ばせば、またもや払われ夏樹に触れることができなかった。
「和泉に似た佐伯って男に出会って自分の気持ちに気が付いたんだろう?いや……好きだった頃の気持ちが蘇ったか?蘇れば、俺なんて必要ないか?」