この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ひと夏の恋……そして……
第17章 会いたくて泣く
「そういえば真緒、夏樹ちゃん帰ってきてるのかい?」
開店前の準備をしていると、ソンちゃんの口から夏樹の名前が出てドキッとした。
「なっ、何で??」
「何を驚いてんのさ。ここに来るときに夏樹ちゃんの車が家に止まってたからさ。真緒は知らないのかい」
「えっっと……連絡はあったよ。予定が変わって戻って来たって。ソンちゃんの家から戻って直ぐに寝ちゃったから話してはないけど、そんなメッセージが残ってたかな」
ソンちゃんの言葉に、しどろもどろで下手な嘘をついてごまかした。
「そうだったのかい。でも案外、真緒に会いたくて旅行切り上げてきたんじゃないのかね。それなのに寝てて会えなかったとは夏樹ちゃんもタイミングの悪い男だねぇ」
ソンちゃんはケタケタと笑いながら確信ついたところを付いてくる。
ソンちゃんの言う通り、夏樹は私に会いたいと旅行を切り上げて帰ってきてくれた。
その言葉と行動がどんなにうれしかったか。
本当だったら、私もだよと言って夏樹に抱きついて甘えていてもおかしくはなかったのに一番ひどいやり方で傷つけた。