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ひと夏の恋……そして……
第17章 会いたくて泣く

「なつ兄ちゃん戻ってきた?僕に会いに来てくれた?」
真和を迎えに行くと、一目散に私の元にやってきた真和は、ママという前に夏樹の事を口にした。
ずっと会いたがってたから当然だけど、何だか寂しい。
「……まだだよ。」
「そうなんだ。早くなつ兄ちゃんに会いたいな」
私の言葉にがっかりする真和は、私の手を取って歩き始めた。
家に戻るとさらにテンションが下がり、今にも泣きだしそうだった。
「どうしたの?」
「ママ……今日から千春兄ちゃんもいないんだよね。なつ兄ちゃんもいない……早くなつ兄ちゃんい会いたい」
ギュっと私に抱きついてくる真和は心の内を言葉にした。
いつも一緒にいた夏樹。
そして4日間と短い時間だったけどずっと一緒にいてくれた佐伯さん。
そのふたりがいないこの家が、真和を寂しくさせているようだった。
真和の言葉で家の中を見渡せば、真和の想い通り寂しい。
あれだけ笑いが絶えなかった部屋なのに、今はそれさえ感じられない。

