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ひと夏の恋……そして……
第17章 会いたくて泣く

「そうだね。この忙しい時期に4日間も民宿を休ませてもらったんだからその分働いてるんだよ。夏樹ってそういう人でしょ?」

「責任感は人一倍だからね。今度会ったら顔を出しに来なって伝えておいておくれ」

夏樹との事がばれないように嘘を付く。
ここ数日は嘘ばかりついている気がする。
嘘に嘘を兼ね、それが人を傷つける。
分かっているのに嫌われたくないから嘘を重ねてしまう。

「うん。これから夏樹のところに行くからソンちゃんが会いたがってたって伝えておくね」

そして、私はまた嘘をつく。

「そうしておくれよ。真緒と夏樹ちゃんが一緒に笑ってる姿を見るのが私の楽しみなんだからさ。一日でも早く孫の顔を見せておくれ」

そのソンちゃんの願いを私は壊そうとしている。
私の些細な願いのために、全てを失いそうになっていた――


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