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ひと夏の恋……そして……
第19章 好きなら奪って
「ママたちキスしてるね」
「う~ん……教育上良くないんだけどね」
「でも、キスって好きな人同士がするモノでしょ?ママとなつ兄ちゃんは結婚するんだから普通だよ」
「普通?」
「うん。だって僕とちーちゃんキスするよ。将来は結婚するから当たり前だよ。千春兄ちゃんはしないの?あっ!ママはなつ兄ちゃんと結婚するんだから、千春兄ちゃんはママとキスしちゃダメなんだよ。キスをしていいのは結婚ぜんていにお付き合いしている人だけなんだよ」
「すごい言葉知ってるね」
「これも常識だよっ」
少し遠くから真和と佐伯さんの会話が風に乗って耳に入ってくる。
今の状況を思い出した私は慌てて夏樹から離れようとしても、夏樹の手が私の腕を握ったまま離してはくれなかった。
「もう、離さないから。二度とこの手、離さないから」
それは約束。
私と一生、一緒にいてくれるいう夏樹の誓いのように感じた。
「うん。離さないで。何があっても放しちゃ嫌だからね」
「ああ、もちろんだ」
やっと心が通じてお互いに見つめあいほほ笑むことができた。