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ひと夏の恋……そして……
第19章 好きなら奪って
「ばか!何でもっと早く言ってくれないのよ。夏樹は私の事がそんなに好きじゃないって悲しかったんだから。あのまま佐伯さんに連れて行かれてたらどうするの!ばか!!」
うれしいはずなのに、口から出るのは恨み言ばかり。
こんなんじゃ、愛想つかされても仕方がない。
それに本当に言いたいのはこんな言葉じゃない。
「……ごめん、今の全部うそ。うれしかった。今の言葉、ものすごくうれしかった。私も好きなのは夏樹だけ。夏樹だけを愛してる」
関係がこじれるのが嫌で正直な気持ちを言葉にした。
そうすれば、夏樹はフッといつものように笑う。
「辛い思いさせてごめんな……もう、俺は迷わないから。それに何があっても真緒の事手離せない……いや、手離したくない。――こんな俺でもよかったら、一生、俺の傍にいてほしい。真和と一緒に家族になりたい」
「夏樹っ……」
やっと夏樹が分かってくれた。
それがうれしくて、私の方からキスをしてた。
勢い余って砂浜の上に押し倒し、今の状況を忘れるほどに夏樹との久しぶりのキスに酔いしれていた――