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ひと夏の恋……そして……
第19章 好きなら奪って
夏樹は、今もなお続く佐伯さんの挑発に乗ろうとする。
今にも殴り掛かりそうな夏樹をなだめ、佐伯さんにも挑発はやめてとお願いすれば簡単にやめてくれた。
「それもそうですね。夏樹さんがはっきり言葉にして元に戻れたのですから良しとしましょう――さて真和くん。なつ兄ちゃんのところに行こうか。そして今日は3人仲良く川の字になって寝られるよ」
佐伯さんは真和を私ではなく夏樹に抱かせた。
さっきは怖がっていたのに今は夏樹に抱きついて笑顔を見せている。
「本当?今日は川の字で寝れる?」
「ああ。今日はママと3人で川に字で寝ような?」
「本当に本当?だったら朝までいてくれる?僕が起きたらなつ兄ちゃんいる?」
「そうだな、久しぶりにママの朝ごはん食べるのもいいかもな」
朝まで一緒にいられると分かり興奮する真和。
そして、その言葉に私の方がうれしくなった。
「よかったね。真和。今日はなつ兄ちゃんと3人一緒だよ」
「うん。僕ね。3人一緒がいいの。一緒が楽しいの」
何の偽りもない満面な笑顔に全てが元通りに戻ったとホッとした。