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ひと夏の恋……そして……
第20章 和解し懐かしむ
「もし、佐伯さんが和泉だったとしても私の気持ちは変わらないよ。やっぱり和泉が良かったって戻るつもりはない。そう決めたの」
私の気持ちは変わらない。
何があっても揺るがない自分の気持ちを手に入れた。
それを与えてくれたのが、佐伯さんだった。
佐伯さんだけが与えてくれた。
「でもね。もし、和泉が戻ってきてくれたらお礼はいいたいかな。真和を授けてくれてありがとうって。真和のいない人生なんて考えられないもん」
「そうかい、そこまで気持ちが固まってるなら心配ないね。――変なこと言って悪かったね」
「ううん。ソンちゃんは今でも和泉の事を心配してるもんね。どこかで元気でやってるといいね」
「そうだね。元気で頑張ってるといいんだけどね」
お互いにここにはいない和泉の事を考える。
ソンちゃんに言ったように、どこかで元気にやってくれている事を願う。
ここではないどこかで――