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ひと夏の恋……そして……
第20章 和解し懐かしむ
「お前の仕事ぶりを見にきたんだ。コンセプトは決まったようだな。見せてもらった」
冷たい声に怯むことなく金平さんも冷たく言葉にする。
そこだけが氷に冷やされたように、ヒンヤリとしていた。
「あっ、あの、仕事ぶりを見に来たって、リゾート開発の担当は佐伯さんに変わったはずですよね」
佐伯さんの表情がとても苦しそうで、咄嗟に間に入ってしまった。
私の言葉にギロリと睨む金平さん。
こんな怖い視線を向けるから、私たちは島の未来をこの人に託せなかった。
「キミたちがどう説明を受けたかしらないが、我々が完全に手を引いたわけではない。ただ担当が変わっただけだ。――共同開発と言えば分かるか?」
それは金平さんの会社と佐伯さんの会社が一緒になってリゾート開発を進めるということ。
そうなれば佐伯さんの考えてきた案が受け入れられないこともありえる。
利益だけを追求した金平さんの計画案。
それとは正反対の島民を第一に考えた計画案。
そのふたつがぶつかりあうのは目に見えていた。