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ひと夏の恋……そして……
第20章 和解し懐かしむ
「失敬。佐伯の案だったらリゾート開発に賛成ってわけか」
「はい。今まで住んでいた場所が変わるんです。信頼しない人には託せません」
それは金平さんには託せないと言っているようなもの。
だけど、金平さんは嫌な顔をすることなく声を出して笑い出した。
「ここまではっきり言われるとはな。それに、こんなにもはっきりと言う子だとは思わなかった」
そう言って私の頬に伸ばしかけた手を夏樹が止めた。
「人の女に触らないでくれますか?」
私を後ろに隠すように間に入った夏樹が威嚇しても金平さんは動じない。
「そうか……キミが彼女の彼氏か」
それどころか含みのある言い方で笑う。
「まぁ、それもいいだろう」
何かに納得したようにつぶやいた後、椅子に座ったまま動こうとしない佐伯さんに向きなおる。
「お前が出した案が悪いわけじゃない。島民に寄り添ったリゾート地も魅力的だろう。この島を良く知っているおまえだからこそできることだ」