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ひと夏の恋……そして……
第21章 流れる時の中で

金平さんの優しさをありがたく受け取り、コートの前を握りしめて寒さを凌ぎながら真和の遊ぶ姿を見守ることにした。

「今日はどのような用件で?」

ふたりで真和を見守るこの状況は不思議で、何かを話さなければとそんな事を聞いた。

「そう邪険にするな。まぁ、俺が嫌われてるのは知ってるがな」

今までの私たちの態度を知っている金平さんは気にも留めない感じで笑う。
金平さんの言う通り、以前の私だったら邪険に扱っていたとは思うけど、今では昔ほど邪険にしていないし嫌ってもいない。
どちらかというと前向きにつきあっている方だと言える。

「今では嫌っていませんよ」

「今ではか……」

私の言葉尻を取ってクククッと笑う。
この笑い方も以前なら馬鹿にしていると腹を立てていた事でも、それが普通の笑い方だと分かれば気にもならない。
言葉は乱暴で、乱暴さゆえ威圧感を感じていただけで、話してみれば仕事熱心な人だということが分かって来た。
それは佐伯さんのお兄さんだと分かった事も大きく影響している。


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