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ひと夏の恋……そして……
第21章 流れる時の中で
「佐伯さんは……元気にしてますか?」
「……ああ。俺には連絡がないが元気にやっているらしい。毎日忙しく仕事をしていると、向こうの社長から連絡は入る」
「そうですか……近くにいなくて寂しいですね」
「養子に行ってほとんど会ってなかったんだ。寂しいもあったもんじゃない」
佐伯さんが遠くに行ってしまったからなのか分からないけど、少し寂しそうに話す姿は佐伯さんの事を心配しているから。
どんなに冷たい言葉を吐いても、その言葉に優しさを感じてしまう。
それが金平さんの本来の姿だと、短い時の中で感じていた。
「千春が決めた計画を俺が引き継いで悪かったな。急な事で挨拶もできなかったと、それだけを悔やんでいた」
「そうですか……本当に急でしたからね」
海外にある支店でトラブルが発生したと、あれから数日して海外に行ってしまった佐伯さん。
それを知ったのは金平さんが挨拶に来た時で、佐伯家の行く末が掛かっていると聞けば連絡も出来ずに今に至る。