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ひと夏の恋……そして……
第21章 流れる時の中で

「そんなの言わなくても分かるだろう。……真緒にはこんな風に気持ちを伝えることだってできる」

そう言って唇を寄せてくる夏樹に自然と唇が開く。
ぬるりと滑り込む肉厚な舌に舌を絡ませ、お互いの肌が擦れ合えばキュンと子宮が疼く。
舌が解かれ唇が離れれば寂しさから甘えたくなる。

「夏樹っ……」

「うん。分かってる。俺の気持ちは伝わるよな」

「伝わる。もっと、キスしたい」

「ああ。だから真緒には言葉にせずに態度で示すんだ」

夏樹から手を引かれて廊下に出て、先ほどと同じように夏樹の膝の上に座った。
これは真和の事を気にしてからの事。
寝てると言っても、さすがに真和の横でエッチなことはできないし、起きて泣いてしまった事を考えて廊下に出ることにしている。
静まり帰った廊下は部屋にいた時よりヒンヤリとしているけど、お互いの体温がそれを感じさせない。
それどころか、これから起こる出来事に身体は熱を帯び始めていた。


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