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ひと夏の恋……そして……
第22章 それぞれの想い

「だけどね。最後にこれだけは言わせて」

和泉の言葉に顔を向けると、いつものように頬に手を伸ばされて優しく撫でられた。
それが最後のような気がして、手を払いのける事なく和泉の言葉に耳を傾けた。

「真和を産んでくれてありがとう。それは僕と真緒が愛し合った証、あの幸せな時間が嘘でも幻でもなかったという証でもあるんだ。それがあるだけで僕は生きていける。幸せでいられるんだ。そして、少しの時間だったけど、真緒と真和と家族としての時間を僕に与えてくれてありがとう。とても素敵な時間だったよ。でもこれで終わり……――これからは夏樹と真和と幸せになってね」

そう言って最後に抱きしめてくれた。
そこから伝わる温もりを一生忘れないだろう。


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