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ひと夏の恋……そして……
第22章 それぞれの想い
「真和の事なんだけど……」
「うん。真和は僕の子ではないよ。血が繋がっていると言ってもそれだけ……真和を育て見守ってきたのは真緒と夏樹。だから真和の父親は夏樹だよ」
私の悩みを瞬時に感じ取ってくれた和泉は、私の欲しい言葉を並べてくれた。
和泉が自分の子供だと主張することはないと分かっていても、金平家の血をひく子供だと思えば、変な想像をしてしまう。
それが顔に出ていたのか、和泉は笑う。
「そんなに心配なら弁護士に話を通して手続きをするよ。それを真緒に渡しておくから万一の時に使ったらいい」
「そこまでしなくても」
「そこまでしないと不安なんでしょ?兄を見てるから当然だけどね。だけど不安材料があれば消しておくのが良いんだよ。これは真緒だけの問題じゃない。真和くんの未来も決める事でもあるんだから」
そう言って笑ってくれた。
真和の事を自分の子供じゃないと言い切ってくれた和泉。
本心がどうかは分からないけど、私と夏樹のためを思って言ってくれた言葉に感謝しかない。