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ひと夏の恋……そして……
第3章 自由になる為に

「ねぇ、真緒?勉強は誰の為にやってた?」

考え込んだ私に、別の視点から質問する。
誰の為に……

「怒られるからするしかなかった」

「そうね。だったら、今度は自分の為に頑張ってみない?自分が自由になるために、怒られるからじゃなくて自分の為にって思うと頑張れない?」

「自分……のために?」

「そう、自分の為に。今日、この場で真緒を連れて帰りたいけど、それだったらまた連れ戻されてしまう……連れ戻されないためには真緒が頑張るしかないの」

私の手をギュっと握ってくれる叔母さんに、自然と頷いていた。
10番内なんて奇跡的に近い私に頑張る希望を与えてくれた。
私が頑張るしかこの世界から抜け出すすべはない。
それから必死に勉強した。
イヤイヤしていた勉強も自分の為だと思うと楽しかったし、解けると益々楽しくなる。
真剣に勉強に取り組むようになりママは何も言わなくなった。
それも救いだったんだと思う。
そして一番の救は夏樹さんだった。



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