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ひと夏の恋……そして……
第3章 自由になる為に
「ねぇ、真緒聞いて。」
叔母さんは私の顔を上げさせ、強いし眼差しを私に向ける。
「真緒はできる子だと叔母さんは思ってる。お店でも仕事の飲み込みが早かったわよね。計算も正確だったし、注文を取っても書かずに覚えられていた。そんな子が馬鹿なはずがない。そう言われて育ってきたから思い込んでいるだけ。思い込んでいるから力を発揮できないだけ」
叔母さんの言葉にお店で働いていた時の事を思い出していた。
伝票が手元にない時は複数の注文を暗記して叔母さんたちにオーダーを通してから伝票に書き込んでいた。
お会計を任されてからは暗算で計算するようになった。
それが普通の事だと思っていたけど、叔母さんは違うという。
もし、叔母さんの言葉が真実なら私は馬鹿ではない?
生まれてから今まで馬鹿だと言われ続けてきたからそう思っているだけ?
叔母さんの言葉に少しだけ希望見えてきた。
もしかしたらと淡い希望を抱く。