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ひと夏の恋……そして……
第3章 自由になる為に
「真緒……」
少し低い声で私の名前を呼ぶ。
それだけで、私の心はドキドキしてキュンとする。
「夏……樹……」
私も夏樹の名前を呼ぶ。
その言葉に夏樹の顔がくしゃりと歪み、次の瞬間、夏樹の唇が私の唇に触れた。
咄嗟の事で目を閉じることもできなかった。
だけど、嫌……ではなかった。
「真緒、唇開いて」
触れ合うだけのキスが終われば、夏樹のそんな言葉が降って降りてくる。
私はコクリと頷いて今度は瞳を閉じた。
そして、また暖かな夏樹の唇が触れた。
少し唇を開けば、その間から夏樹の舌が遠慮がちに私の中に入ってきて、何かを探すかのように動き回る。
小さな小さな空間では、欲しいものは直ぐに見つかって捉えられてしまう。
舌を絡ませられ、ぎこちなくも夏樹の舌に絡ませる。
何度も何度も角度を変えながら、沈みゆく夕日に照らされながら、熱い……熱いキスはいつまでも続いた。
だから私は、このまま夏樹とつきあうだろうと思っていた。
少し大人の夏樹と一緒に、高校3年生の夏を過ごすのだと疑うことはなかった。