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サディスティック・マリッジ
第9章 内緒の結婚生活
ガチャ
玄関の開く音に、愛里咲は慌てて涙を拭い、食器を片付け洗い始めた。
「おかえり」
琉に背中を向けたまま、愛里咲は洗い物をする手をいかにも忙しそうに動かす。
「泣いてた?」
背後から愛里咲に近付いた琉が、楽しそうに愛里咲の顔を覗き込む。
「泣くわけないじゃん」
愛里咲はぶっきらぼうに言うと、琉とは反対方向へ顔を背ける。
フワリと抱きしめられれば、琉からは津川の香水の匂いがして、愛里咲の胸がチクリと痛んだ。
「何してきたか、聞きたい?」
愛里咲の耳に寄せられた琉の唇。その柔らかな感触が、琉が言葉を紡ぐ度に愛里咲の耳を擽った。
「…っ…別に!」
熱を持つほどに赤くなった耳も、聞きたいけど聞きたくない不安な気持ちに半泣きになった顔も、琉には見られたくなくて愛里咲はつい強がっていた。
フッと琉が小さな笑い声を漏らす。
耳に吹き掛けられた息に、愛里咲はピクリと身体を揺らした。
玄関の開く音に、愛里咲は慌てて涙を拭い、食器を片付け洗い始めた。
「おかえり」
琉に背中を向けたまま、愛里咲は洗い物をする手をいかにも忙しそうに動かす。
「泣いてた?」
背後から愛里咲に近付いた琉が、楽しそうに愛里咲の顔を覗き込む。
「泣くわけないじゃん」
愛里咲はぶっきらぼうに言うと、琉とは反対方向へ顔を背ける。
フワリと抱きしめられれば、琉からは津川の香水の匂いがして、愛里咲の胸がチクリと痛んだ。
「何してきたか、聞きたい?」
愛里咲の耳に寄せられた琉の唇。その柔らかな感触が、琉が言葉を紡ぐ度に愛里咲の耳を擽った。
「…っ…別に!」
熱を持つほどに赤くなった耳も、聞きたいけど聞きたくない不安な気持ちに半泣きになった顔も、琉には見られたくなくて愛里咲はつい強がっていた。
フッと琉が小さな笑い声を漏らす。
耳に吹き掛けられた息に、愛里咲はピクリと身体を揺らした。