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サディスティック・マリッジ
第11章 入籍宣言
翌日、愛里咲が出社した頃には、津川が下着姿で縛られて見つかったと、社内中の専らの噂になっていた。

守衛たちからの話を聞いた上層部は、事情を聞くために愛里咲と琉を呼び出した。


会議室では、コの字形に並べられた机に、上層部の面々が並んで座っている。

その真ん中に立つ愛里咲と琉は、上層部に囲まれるような状態だ。


「守衛の藁科くんの話では、千葉くんと部屋に戻った時には誰もいなかったと言っていたが?」

上層部のうちの1人が琉に尋ねる。

「津川さんに、睡眠薬入りのお茶を飲まされてあの部屋の床に寝かされてました。気付いたらロープで机に括られていて、ちょうど来た千葉さんに助けてもらったんです」

上層部がズラズラ並び萎縮気味の愛里咲と違い、琉は堂々と答える。

愛里咲と琉の少し後ろに立つ部長の町田が、
「最近の津川は、夏川に対してフェロモン全開でしたからね」
と付け加えてくれる。

「他人の色恋沙汰に口は出さないが、会社という場所である事はわきまえろと注意したばかりでした」

(わぁ、やっぱり町田部長はすごい! 前の塚本部長とは大違い!)

愛里咲は心の中で感心する。


「───で? 津川くんを縛ったのは君か?」

副社長が琉に聞いた。

「…はい。仕返しに」

琉は副社長に向かいニッと口の端を上げて笑う。

「君も縛り好きか」

副社長を含む上層部数人が、琉に向けニッと笑い返した。
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