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第12章 副社長からの結婚祝い

次の日には、琉との入籍の話はあっと言う間に社内に広まっていた。

おかげで愛里咲は、伊藤・神谷・荒木のみならず、他の部署の女子社員にも嫌がらせをされる事が増えてきた。



「はぁーッ」

いつものように資料室でお弁当を広げた愛里咲が、大きなため息をつく。


ドサッと隣の椅子に誰かが座る音が聞こえる。

「今日雨降ってたか？」

肩にタオルを掛けた愛里咲の、ビショビショの髪の毛を見ながら琉が言った。


「トイレ入ってたら、上から水が降ってきたの」

愛里咲は髪の毛をガシガシと拭く。

「雨漏り？」

愛里咲のお弁当を突つきながら、楽しそうに琉が聞く。

「……ホースで水掛けられたの！」


「ぶっ…」

思わず声を荒げた愛里咲に、琉は噴き出し腹を抱えて笑い出した。